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古いブラウザへの対応って本当に必要?判断のポイントを考える

古いブラウザへの対応って
本当に必要?
判断のポイントを考える

「会社でまだInternet Explorerを使っているけど大丈夫?」「古いブラウザに対応したWebサイトを作る必要はある?」そんな疑問はありませんか?

この記事では、古いブラウザ対応が本当に必要なのか、安全性やコストの面から分かりやすく解説します。適切な判断ができるポイントをご紹介します。

目次

古いブラウザ対応とは?

古いブラウザ対応とは、現在主流でないブラウザでも、Webサイトが正常に表示・動作するように調整することです。

ブラウザとは、 インターネット上のWebサイト等を閲覧するためのソフトウェア(例:ChromeやSafariなど)です。

古いブラウザの例

  • Internet Explorer 11(2013年リリース、Microsoftがサポート終了)
  • 数年前のChrome、Firefox、Safari
  • 更新されていないスマートフォンのブラウザ

なぜ古いブラウザの問題が起こるの?

よくある状況

会社や組織での制約

  • 社内システムが古いブラウザ前提で作られている
  • IT部門の承認が必要で更新に時間がかかる
  • 予算の都合で一斉更新が難しい

個人的な事情

  • 古いパソコンやスマートフォンを使っている
  • ブラウザを更新する方法が分からない
  • 「今まで使えていたから大丈夫」と思っている

古いブラウザを使い続けるリスク

最も重要:セキュリティの問題

古いブラウザの最大の問題は、セキュリティ上の危険性です

具体的な危険

  • セキュリティの穴が修正されない:新しい脅威に対応できない
  • ウイルス感染のリスク:悪意のあるサイトからの攻撃を防げない
  • 個人情報の漏洩:オンラインバンキングやショッピングが危険
  • 詐欺サイトの見分けが困難:偽のサイトに騙されやすくなる

使い勝手の問題

  • サイトの表示が崩れる
  • 一部の機能が動かない
  • 動作が遅くなる
  • 最新のサービスを利用できない

古いブラウザ対応が必要か判断するポイント

1. 利用者の状況を確認する

個人サイト・一般的なサービスの場合

多くの場合、古いブラウザへの対応は必要ない可能性があります:

  • 一般の消費者は比較的新しいブラウザを使用している傾向
  • スマートフォンユーザーが多い場合、自動更新により新しいバージョンが使われがち

企業向けサービス・特殊な環境の場合

対応が必要な場合があります:

  • BtoB向けのWebサイト:企業の古いシステム環境を考慮
  • 公共機関のサイト:多様な利用環境への配慮が必要
  • 特定の業界向け:医療、金融、教育機関など

2. コストと効果のバランス

対応にかかるコスト

  • 開発時間の増加
  • テスト作業の複雑化
  • 維持・管理の手間
  • 新しい技術の導入制限

得られる効果

  • より多くの人がサイトを利用できる
  • 企業イメージの向上
  • 取りこぼしの防止

3. 代替手段の検討

古いブラウザに完全対応しない場合でも、以下の方法があります:

  • 電話でのお問い合わせ窓口を用意
  • メールでの資料請求に対応
  • PDFでの情報を提供

現在(2025年)の一般的な考え方

セキュリティを最優先に考える

安全性を考えると、古いブラウザの使用は推奨できません

Internet Explorer 11について

  • Microsoftが2022年にサポートを終了
  • セキュリティ更新も提供されていない
  • 新しいWebサイトでの対応は推奨されない状況

段階的なアプローチ

基本方針の例

  1. 現在の利用状況を調査:どの程度古いブラウザが使われているか確認
  2. 重要度による優先順位:必要最小限の対応から開始
  3. 移行期間の設定:ユーザーに十分な準備時間を提供
  4. 代替手段の準備:他の方法でもサービスを利用できるようにする

古いブラウザユーザーへの配慮

分かりやすい案内

お使いのブラウザは古いバージョンです
より安全で快適にご利用いただくために、
最新版への更新をお勧めします
推奨ブラウザ:
- Google Chrome
- Microsoft Edge
- Firefox

サポート窓口の準備

  • 電話でのお問い合わせ対応
  • メールでの質問受付
  • よくある質問(FAQ)の充実

実際の対応例

パターン1:完全対応を避ける場合

  • 古いブラウザでアクセスした際に更新を促すメッセージを表示
  • 基本的な情報は閲覧できるが、一部機能は制限
  • 代替の連絡手段を明確に案内

パターン2:部分的に対応する場合

  • 重要なページ(トップページ、お問い合わせなど)のみ対応
  • 複雑な機能は新しいブラウザでの利用を案内
  • 段階的に対応範囲を縮小

パターン3:しばらく対応を続ける場合

  • 重要な顧客層が古いブラウザを使用している
  • 移行計画を立てて、将来的にはサポート終了
  • ユーザー教育と並行して対応

まとめ

古いブラウザ対応については、以下の点を考慮して判断しましょう:

  • セキュリティリスクを理解する:古いブラウザには危険が伴う
  • 利用者の状況を把握する:実際にどの程度使われているか調査
  • コストとメリットを比較する:対応にかかる負担と得られる効果
  • 段階的なアプローチを取る:急激な変更ではなく計画的に移行
  • 代替手段を準備する:他の方法でもサービスを利用できるようにする

最も重要なのは、利用者の安全性を守りながら、現実的で持続可能な方針を決めることです。

古いブラウザ対応で悩んだ時は、まず現状を把握し、関係者と相談しながら適切な判断を行いましょう。

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くぼ よしゆき
北海道厚岸町生まれ。宮城県仙台市在住。弘前大学大学院理工学研究科(博士前期課程)修了。Web制作会社 → デザイン会社 → 1616。プランニングから撮影、デザイン、コーディング、CMS導入まで幅広く活動的な感じみたいな。