この記事では、alt属性のSEO効果が限定的であることと、本来の目的であるアクセシビリティを重視した正しい書き方を具体例とともに解説します。適切な理解により、正しい優先順位で効果的な対応ができる方法が分かります。
目次
alt属性の本来の目的とは
「画像にテキストを付けるだけでしょ?」と思われがちなalt属性ですが、実はアクセシビリティを向上させることが主目的の要素です。
視覚障害のある方が利用する音声読み上げソフトや、画像が表示されない環境でも、alt属性のテキストを通じて画像の内容を理解できるようになります。
アクセシビリティとは?
アクセシビリティとは、身体的な特徴や利用環境に関係なく、すべての人がWebサイトを利用できるようにすることです。たとえば、視覚に障害のある方、高齢の方、スマートフォンの通信速度が遅い環境の方など、様々な状況の人がサイトを使いやすくする配慮を指します。
alt属性のSEO効果は限定的:アクセシビリティが本来の目的
結論から言うと、alt属性のSEO効果は限定的であるとされています。
Google Search Centralの公式ドキュメント『Google 画像検索 SEO ベスト プラクティス』では、alt属性は「画像を見ることができないユーザー向けの補助機能」として位置づけられており、Googleも画像理解の一要素として活用していることが明記されています。
さらに重要なポイントとして、以下のように明示されています:
Google公式の推奨事項
- 適切にキーワードを使用して、ページ内容に沿った情報に富むalt属性にする
- alt属性にキーワードを羅列すること(キーワードの乱用)は避ける
- ユーザーエクスペリエンスが低下し、サイトがスパムとみなされる要因となる場合もある
つまり、SEO効果よりもアクセシビリティを第一に考え、自然で分かりやすい説明文を心がけることが重要です。
例えば、美容室のサイトで施術写真を掲載する場合:
- alt属性なし → 検索エンジンは「何かの画像がある」程度の認識
- 適切なalt属性 → 「カット後のボブスタイル」「カラーリング施術中」など具体的な内容を認識
この違いが、ユーザビリティの向上と画像検索での表示機会に影響を与える場合があります。
参考情報: Google 画像検索 SEO ベスト プラクティス
alt属性がもたらすメリット
アクセシビリティの向上
alt属性の主目的は、すべてのユーザーが画像の内容を理解できるようにすることです。
カフェの場合の比較
- ❌️:
alt="image1"
- ✅️:
alt="仙台駅前の静かなカフェ店内でコーヒーを楽しむお客さん"
良い例では「仙台 カフェ 静か」「仙台駅前 コーヒー」といった検索で画像が表示される可能性が期待できます。
ページ理解の補完効果
alt属性は、ページ内容の理解を補完する役割を果たします。画像とテキストコンテンツの関連性が高いほど、検索エンジンはページ全体の文脈をより正確に把握できる可能性があります。ただし、alt属性単体でのSEO効果は限定的とされています。
アクセシビリティとSEOの相乗効果
視覚障害のある方が利用する音声読み上げソフトでは、alt属性の内容が読み上げられます。Googleはアクセシビリティを重視する傾向があるため、適切なalt属性はSEO評価の向上にも可能性があるかもしれないと考えられています。
重要:アクセシビリティ第一の考え方
alt属性を設定する際は、「SEO効果があるから」ではなく「すべてのユーザーがサイトを利用できるように」という視点を最優先にしましょう。
適切なalt属性の書き方5つのポイント
1. 画像の内容を具体的に説明する
「写真」「画像」「イメージ」といった抽象的な表現は避け、画像に写っている具体的な内容を記述しましょう。
<!-- ❌️ --><img src="menu.jpg" alt="メニュー写真" />
<!-- ✅️ --><img src="menu.jpg" alt="パスタランチセット 1200円 サラダとスープ付き" />
2. ページの文脈と関連させる
alt属性は、ページの内容やテーマと密接に関連させることが重要です。
例:整体院のページの場合
- ページテーマ:腰痛改善
- 画像内容:施術の様子
- alt属性:「腰痛改善の整体施術を受ける患者さん」
3. キーワードを自然に含める
SEO対象のキーワードを含めつつ、自然な文章として成立させることが大切です。
工務店サイトの事例
- ページテーマ:「仙台 注文住宅」
- 画像:完成した住宅の外観
- 効果的なalt属性:「仙台市青葉区に建てた木造注文住宅の外観」
キーワードの「仙台」「注文住宅」が自然に含まれています。
4. 適切な文字数を心がける
alt属性は簡潔で分かりやすい長さが適切とされています。長すぎると読み上げソフトで聞きづらくなり、短すぎると情報が不足する場合があります。
5. 装飾的な画像は空のalt属性を使用
デザイン装飾のみの画像にはalt=""
を設定し、音声読み上げソフトが無視するようにします。
<!-- 装飾的な背景画像の場合 --><img src="decoration.png" alt="" />
ここがポイント
装飾画像と情報画像の違いを理解することが重要です。情報を伝える画像には具体的なalt属性を、装飾のみの画像には空のalt属性を設定しましょう。
よくある間違いと改善方法
キーワードの詰め込みすぎ
Googleの公式ドキュメントでは「キーワード詰め込みはユーザー体験を損ねスパムと見なされるリスクがある」と警告されています。自然で読みやすい文章を心がけましょう。
<!-- ❌️:不自然なキーワード詰め込み --><img src="cafe.jpg" alt="仙台カフェ仙台駅前カフェおすすめカフェ美味しいコーヒー"/>
<!-- ✅️:自然な文章 --><img src="cafe.jpg" alt="仙台駅前の落ち着いたカフェで提供される美味しいコーヒー"/>
重要:キーワード詰め込みのリスク
alt属性にキーワードを不自然に詰め込むと、スパム扱いされるリスクがあります。あくまで画像の内容を正確に説明することを優先しましょう。
ファイル名をそのまま使用
ファイル名をalt属性にコピーするのは避けましょう。
<!-- ❌️ --><img src="DSC_0001.jpg" alt="DSC_0001" />
<!-- ✅️ --><img src="DSC_0001.jpg" alt="新築一戸建ての明るいリビングルーム" />
すべての画像に同じalt属性
ページ内の複数画像に同じalt属性を使用すると、SEO効果が薄れます。各画像の個別性を重視しましょう。
業種別alt属性最適化の実例
飲食店の場合
<!-- 料理写真 --><img src="pasta.jpg" alt="トマトソースの手作りパスタランチ 野菜サラダ付き" />
<!-- 店内写真 --><img src="interior.jpg" alt="温かい照明の落ち着いたイタリアンレストラン店内" />
美容室の場合
<!-- 施術前後写真 --><img src="before-after.jpg" alt="ロングヘアからショートボブへのカット施術ビフォーアフター"/>
<!-- スタイリング写真 --><img src="styling.jpg" alt="パーマとカラーリングを組み合わせたふんわりミディアムヘア"/>
士業事務所の場合
<!-- 事務所写真 --><img src="office.jpg" alt="相談しやすい雰囲気の行政書士事務所の相談室" />
<!-- 専門家写真 --><img src="lawyer.jpg" alt="契約書類について説明する経験豊富な行政書士" />
アクセシビリティの確認と継続的な改善
ユーザビリティの確認
音声読み上げソフトでサイトを確認したり、画像を非表示にしてサイトが利用できるかチェックしましょう。alt属性が適切に機能しているかを確認することが重要です。
改善のサイクル
- 現状把握:音声読み上げソフトやアクセシビリティツールでの確認
- alt属性の見直し:より正確で分かりやすい説明文に修正
- ユーザビリティ確認:実際に画像なしでサイトが使えるかテスト
- 継続改善:分かりやすい記述をほかの画像にも適用
まとめ
画像alt属性の適切な記述は、アクセシビリティ向上が第一の目的です。SEO効果は限定的ですが、すべてのユーザーが使いやすいサイト作りという重要な価値があります。
重要なポイントを再確認しましょう
- アクセシビリティ向上を第一の目的とする
- 画像の内容を具体的かつ自然に説明する
- 簡潔で分かりやすい長さにまとめる
- キーワードの不自然な詰め込みは避ける
- 装飾画像には空のalt属性を設定する
まずは主要な画像から始めて、徐々に全ての画像のalt属性を見直していきましょう。SEO効果は限定的ですが、より多くのユーザーがサイトを利用しやすくなるという大きな意味があります。
